人生100年時代。
そして健康志向がますます高まっている昨今、幾つになっても元気で明るい毎日を過ごしていたいなという思いは誰しももっているはず。
そんな人生をおくるために、まず、私たちは何をしたらよいのでしょう?
それは、「栄養に対する投資」ではないでしょうか?
テレビや雑誌で、「〇〇を食べると体によい。」とか「〇〇はあまり食べない方がよい。」など、様々な新しい情報が飛び交うなか、試してはみるものの、ずっと継続できるか…というと、そう容易ではありません。
そんな、最新の栄養学を取り入れつつも、普段の食事に取り入れることをおすすめしたいのが「薬膳」です。
私は、毎日の家庭料理に薬膳の理論を取り入れて作っています。
(簡単で時短レシピを日々研究中です。)
続けているうちに、自然と健康意識が高まり、体質改善にもつながって、まさにいいことずくめ。
薬膳料理ってなんだか、難しそう~とか、不味いんじゃない?などという声も聞こえてきそうですが、心配はご無用。
食材の効能や知識を生かして、パスタやスイーツなどの洋食だったり、スパイスを使ったカレーなど、色んな料理に応用できるのが薬膳です。
今回は
・薬膳料理の歴史と食医とは?
・薬膳料理の基本「五味」「五性」「帰経」とその効能とは?
・薬膳料理の作り方とポイント
をご紹介します。
薬膳料理の歴史と食医とは?
薬膳とは、いってみれば「東洋版の栄養学」。
一般的な栄養学では、カロリーや栄養成分を重視していて、さらに医学的になってくると血糖値、血圧などの数値から人の健康状態を分析しますよね。
一方、東洋版栄養学ともいうべき薬膳は、「薬食同源」「予防医学」が根底にあります。
はるか昔、紀元前11世紀~紀元前8世紀。
中国、周の時代には、すでに医療制度が整っていて、主に4つの区分がありました。
・食医…食事、衛生
・疾医…内科医
・瘍医(ヨウイ)…外科医
・獣医
そのなかで最も位が高かったのは、栄養管理や食事療法などを行う「食医」。次に内科医、外科医、そして獣医と続きます。
ちょっと、意外な感じがしませんか?
中国医学の古典には
上工治未病(じょうこうちみびょう)
「名医は未病を治す」
という有名な言葉もあります。
病気になる前に体が出したサインを感じ取り、病を未然に防ぐことができる人こそが最高の名医だという意味です。
ちなみに「未病」というのは、肩こりやニキビ、便秘、不眠、冷えなど、体が出したなんらかのサインを出している状態のこと。
~未病の段階で、食事で治す~
こんな薬膳料理の知恵を、家庭の食医になったつもりで、毎日食べる家庭料理に取り入れてみましょう♪
薬膳料理の基本「五味」「五性」「帰経」とは?
薬膳では、野菜、フルーツ、肉、魚、卵、スパイス、調味料…、すべての食材は、それぞれ異なる効能や性質をもっていると考えます。
簡単に説明すると…、
薬膳ポイント①
◉「五味」…生薬や食材の味のこと。
・酸…酸味 レモン、梅、トマトなど
筋肉を引き締め、汗や尿などが出すぎるのを防ぐ。
・苦…苦味 ゴーヤ、緑茶など
体の熱を冷ます作用。
・甘…甘味 かぼちゃ、はちみつなど
滋養強壮、痛みを止め、緊張をゆるめる作用。
・辛…辛味 しそ、ねぎ、しょうがなど
滞っているものを発散させ、気血の流れを良くする作用。
・鹹(かん)…塩味 昆布、わかめ、カニなど
かたいものを柔らかくし、便通をよくする作用。
薬膳ポイント②
◉「五性」…「体を冷やす」「体を温める」といった作用のこと。
・熱性 シナモン、花椒など
・温性 ナッツ類、ねぎ、しそなど
・平性 米、大豆など
・涼性 セロリ、トマトなど
・寒性 たけのこ、こんぶなど
薬膳ポイント③
◉「帰経」…食材が体のどの部分に作用するかを表したもの。
例えば、薬膳食材のなかでも人気の「クコの実」。
「クコの実」の場合、肝・肺・腎に帰経するので、肝が関係する目、肺が関係する皮膚、腎の機能も高めてくれアンチエイジング効果もあり、女性に嬉しい薬膳の代表食材です。ちなみに、杏仁豆腐の上に飾りでのっている数粒では、効果はちょっと、あまり期待できません。
毎日、ひとつかみくらいなら平気。それ以上となるとちょっと食べすぎで注意が必要ですが…。お茶に入れたり、料理にトッピングしたり…。毎日の料理を楽しんで、無理なく使ってみてください♪
では、この「五味」・「五性」・「帰経」のそれぞれの特性を利用して、季節や体質、症状、体調などにあわせて食材を合わせて作っていきます♪
薬膳料理の作り方とそのポイントは?
① 自分や家族の健康状態をまず、チェック。
季節や気候(寒いや暑いなど)は?
② どんな効能を求めるのか、方向性は?花粉症の症状を軽くしたい、冷えを改善したい、肌の調子をよくしたいなど…。
③ 季節の食材から、②で決めた、効能をもつメイン食材を決める。
ex.野菜類、肉(鶏、豚、牛)、魚(鮭、サバなど)
④ メインの食材と組み合わせるサブ食材を決める。
五味・五性・五色をバランスよく取り入れてね♪
⑤ 調理法はどうする?
ex.焼く、煮る、蒸すなど…。
こんな流れで、メニューを考えてみましょう。
完璧に…なんていかなくても大丈夫。
食材の効能を意識し、バランスよく取り入れるべし…です♪
次回からは、様々な食材を使ったレシピも併せてご紹介していきます。
薬膳の家庭料理、ぜひ、あなたも始めてみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
参考図書:「漢方の知恵を毎日の食卓に」早乙女孝子著:土屋書店
「食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術」満尾正:アチーブメント出版